処世若大夢胡為労其生

ギター講師兼作家、八幡謙介の日常ブログ。音楽とアニメ以外のこと。

忍術書「万川集海」を読んでがっかりした

たぶん「未来撃剣浪漫譚ADAUCHI」を書く前(2012年ぐらい)、

未来撃剣浪漫譚【1】ADAUCHI

未来撃剣浪漫譚【1】ADAUCHI

  • 作者:八幡謙介
  • 出版社/メーカー: 八幡謙介
  • 発売日: 2014/05/01
  • メディア: Kindle版
 

忍者の勉強をしとこうと思って、万川集海を検索してみました。

ちなみに、万川集海とは正忍記、忍秘伝と並ぶ江戸時代に書かれた有名な忍術の秘伝書です。

当時検索したところ、どっかの学者さんが自費出版した私家版が出回っていて、全数冊、一冊二万円ぐらいしたので断念。

奮発して買っても漢文なので読めませんw

しかし2020年になって、撃剣シリーズの続編を練っているとやっぱり一冊ぐらい忍者の伝書を読んでおこうと思い、改めて原文のアーカイブとか出てないかなと検索してみると、なんと全訳版が出ているではありませんか!

完本 万川集海

完本 万川集海

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 国書刊行会
  • 発売日: 2015/05/22
  • メディア: 単行本
 

8千円とクソ高い値段でしたが、ニッチだしすぐ廃刊になってメルカリなんぞで高値になりそうなので、思い切って購入しました。

早速試しに原文を読んでみると、漢文体ですが荘子やら出師の表やら読んでいたせいか、意外と読めました。

こちら↓

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嬉しくなって毎晩読み進めていったのですが、最初の「忍術問答」を読み終えたあたりでもう読む気なくしました。

なぜかというと、あまりにも武士にすり寄っているからです。

 

やたらと中国の古典を紐解いて忍術の権威付けをしてみたり、「正心」とかいうとっつてつけたような(侍が好きそうな)道徳的概念をやたらと推して、忍者も侍みたいな高い精神性を持ってるんだぞとアピールしたり、かと思ったら「人によく知られている忍者・忍術は中級、本当の上級忍者・忍術は誰にも知られないものだ」と煙に巻こうと(今風に言うとマウンティング)したり、何というか、嘘ついてんなこいつという感じがプンプンします。

 

改めて訳者の序文を読み返してみると、万川集海は甲賀二十一家の総代として大原数馬、上野八左衛門、壱岐守一郎が寛政元年(1789)年に寺社奉行松平右京亮を通じて幕府に献上し、その見返りに窮乏状態にあった忍者の救済を願い出るものの、華麗にスルーされたそうです。

明治元年が1868年、黒船来航が1853年、それよりも60年前なので、平和も平和な時代だったのでしょう。

つまり、忍者に仕事がない時代です。

苦肉の策として忍術そのものを幕府に売ろうとしたんでしょう。

とはいえ、上記したように、なんか嘘くさいんですよね。

取ってつけたような教養と、まだなんか隠してるような匂いがする文章です。

たぶん幕府の人にも見透かされたんじゃないでしょうか?

甲賀伊賀の忍術を全部公開するという体で書きながら、序盤にはもう「全部見せるのは中忍なww上忍は見せねーしwww」と矛盾してるし、「はいはい、忍者乙」「オワコンオワコンw」と幕府にスルーされても仕方ない気がします。

忍者側も下心ありきで書いているので、たぶん隠してることはいっぱいあると思います。

忍者の本心みたいなものを知るためには、伊賀甲賀の忍者の家に伝わる伝書とか日記なんかを読まないといけないんでしょう。

今後の研究に期待。

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